こんなときばかり何も言わない猫なのだ
何て思い通りにならず憎たらしい猫なのだ
それが悔しくて言うも聞くも堪えぬような言葉が全部ひしゃげて潰れていくのだ
彼女もそんな風になることもあります。だって何の変哲もない人間だから。
泣いていて怒っていて嘆いているのでしょう。
きっと猫は何も言わないことでしょう。
彼女が近寄らなければ彼からはきっと近づかず、口を開かなければ彼もまた口を開かないのでしょう。
彼女が捌け口を求めるならばきっと捌け口にもなることでしょう。
それは彼女がそれだけのことをしたから、彼は。
PR